人と共にある生活の大切さ
先日、降園の時にお母さんに抱かれながら大泣きをして帰る年少さんの姿を見かけました。「どうしたのかしら?」と心配に思うと、もっと遊びたいと泣いているのだと聞き、幼稚園がこんなに楽しい場所になったのだと嬉しく思いました。また、友だちと誘い合ってプレイルームへ行き、大型積木で遊ぶ年中さん。三角、四角、長四角、おまけに一人では持てない長い積み木まで友だちと一緒に運び、プレイルーム中に広げて、家や基地を作って遊んでいます。何もないところに自分の頭の中にあるイメージに合わせて積木を積んだり、並べたり。そして、片付けの時間になると、「これだけ出した積木や巧技台をよくぞ!」と思わされるくらいにみんなが夢中になって片づけをします。こんなに自分の手や足を動かし、力を使い、そして頭を使いながら友だちと遊ぶ姿に、やっぱり幼稚園で遊ぶって大切なことだなと思わされます。そして、毎日毎日雨の続く中で、レインコートを着てうさぎの飼育をしている年長さん。誰に強制されるのでもなく、その日に気づいた子どもが時間になると出て行って餌をやったり、水を替えたりしています。もちろん、包丁やまな板の始末、雑巾洗いなどの作業も行います。大変な仕事ですが、楽しんで行っています。そこには、「自分たちが世話をしなければ」という動物に対しての思いや、「年長の自分たちだからできるんだ!」という自負もあるのでしょう。幼稚園は子どもが主役の場。決して楽しませてもらうお客さんではなく、社会を構成する一員として幼稚園生活を作っていくという大切な経験をしているところです。やっぱり幼稚園って楽しい、素敵な場だと実感します。人と出会い、人が好きになり、一緒に楽しい毎日を作っていく力を養う場なのだと改めて思わされます。
しかし今、新型コロナウィルスの感染により、人と距離を置くことが新しい生活習慣となりつつあります。小さな子どもたちが人と出会う素晴らしさ、楽しさを知る前に距離を置くことだけを覚えてしまうのは悲しいことです。幼稚園では、できる予防をしっかり行いながら、人との距離は保っても心の距離は縮めていかれるように保育をしていきたいと思っています。それでもなお、自粛が終わり感染が広がっています。もうどこで、だれが感染してもおかしくない状況です。感染者が出た時、その人を責めるようなことがあってはならないと思います。興味本位に誰が、どこでと詮索するのではなく、その人の痛みを共に感じつつ、どうやって対処し、乗り越えていくかをみんなで考えていきたいと願います。
主幹 本田ゆかり
【聖学院みどり幼稚園だより 「緑のオリーブ」№2 2020年7月22日発行より】