挑戦する -「緑のオリーブ」№10 聖学院みどり幼稚園だより-

3学期も残り少なくなってきました。そして、この時期になると遊びの中で挑戦している子どもの姿に出会い、心を動かされます。中あて・鬼ごっこ・かくれんぼに夢中になり、昨日より上手くなるように挑戦している子どもたち。縄跳び・こま・かるた・ブランコ・鉄棒などに挑戦し、できるようになった子どもたち。ままごと・お店屋さんごっこ・戦いごっこなど、仲間を集め、思いを伝え、イメージが実現できるよう挑戦し、遊びが進展していく子どもたち。みんな幼稚園での生活が自分のものとなり、物や場所や仲間を自分の思いでやりくりできるようになってきた証でしょう。

2階の年長組保育室では、色とりどりの毛糸が出ていてボンボン作りや、編み物に挑戦している年長児がたくさんいます。先日、年中組の子どもがその場に行き、年長児の様子を見て、「わたしもやりたい!」と、ボンボン作りを教えてもらい、完成品をもって帰ってきました。すると、年中組の子どもたちの心にムクムクと「私も、僕も欲しい!」という思いが湧いてきました。そして、次々と「いってきまーす」と、2階へ向かっていくのです。一方、2階の年長組の保育者は大変です。年長児とはできることが異なり、勝手が違います。「まず、毛糸を選んで」「50回くらい巻くといいんですって」と伝えながら対応しますが、毛糸を選んでいるうちに籠の中の毛糸がこんがらがってしまったり、50回がわからなくなってしまったり、硬い紙に巻き付けるはずがどんどん毛糸が動いて外れてしまったりと、てんやわんやです。そばにいた年長児も教えたり、手を貸したりしながら手伝ってくれました。ようやく毛糸が巻けたら、次はそれを硬い紙から外して、はさみで切ります。毛糸の輪の部分を切って、さらに丸く形を整えていく作業は難関です。毛糸をはさみで切るということは、紙を切るように簡単にはいかないのです。また形になっていない毛糸を、〇を想像しながら切るのですから大変です。年中組がたくさん行ったので、年中組の保育者も援助に行きます。大賑わいの中、ようやく完成する子どもたち。大きな挑戦に、喜びも大きかったようです。

子どもたちは、「やってみたい!」と心が動くと、挑戦します。どんなに大人が与えても心が動かないと挑戦しないのです。これは人の生き方そのものです。心を動かし、挑戦できるものに出会えるように、ゆっくりとした時間や、環境を提供したいものです。

主幹 本田ゆかり

【聖学院みどり幼稚園だより 「緑のオリーブ」№10 2021年2月発行より】